[戻る]

樹冠の移動者−霊長類

オランウータン オランウータン

オランウータン・リハビリ施設
保護区で餌を貰う親子。
子供は将来、本当に森に帰れるのだろうか?

オランウータン
重い体を支える枝は半円を描いては跳ね返る。
ゆっくり、ゆっくりと樹冠を渡る。


<<オランウータン・リハビリ施設>>

 オランウータン・リハビリ施設は親を失った子供や怪我などを負ったオランウータンを収容し、森に返す施設だ。場所にもよるが1日に1〜2回、餌を与える時間に一般に公開している。人に慣れたオランウータンが多いので、特に子供は容易に近づいてくる。親がいるオランウータンの子供は離れることはないのだが、親を失った子供は誰かに抱きつきたいようだ。近づく子供を見るとかわいさで手を出したくもなるが、それをしてはいけない。彼らは一生森に戻れなくなってしまう。
 親を失す原因の一つは、子供をペットとして売りさばくためだ。ペット輸入大国日本でも、最近摘発された業者があった。売る業者だけの責任だろうか?

 木の上に餌代を作り、周りに綱を張ってある。野生で暮らすために綱渡りも上手にできるようにならなければいけない。彼らの体の柔らかさには驚く。手と足の区別ができないくらい、どちらも器用に綱を掴む。尻尾がなくてもバランスよく綱渡りをする姿を見て、私にもできるかもと錯覚してしまう。
 また、彼らの餌を目当てにカニクザルやブタオザルがやってくることもある。オランウータンのほうが体が大きいせいか、彼らの目を盗んですばやくバナナを掴み逃げて行く。餌がなくなると名残惜しそうに残っているのは彼らばかりだった。

 もし、確実で身近にオランウータンをみたければオランウータン・リハビリ施設を訪れると良いでしょう。

[オランウータンのデータ]
[ページの先頭へ]


<<オランウータン>>

 何度となく野生のオランウータンとも出会うことができた。体が大きいせいか、わりと探しやすい。移動をしていれば、木が大きく揺れる、食事中でも木の実を採るのに大きな音がする、毛皮がオレンジ色に近いものは目立つなどが理由だ。
 初めて出会ったオランウータンは食事中だった。木の上でカリカリと一心不乱に木の実を食べている。その時は10人くらいで見に行ったにも関わらず、下にいる私たちの様子などお構いなし。美味しい木の実に夢中だった。

 ある時は、何も見つからない帰り道のことだった。道の先の枝にオランウータンの子供がぶら下がっていた。一緒にいたガイドは”君を待っていたんだよ”と冗談を言うくらいグッド・タイミング。子供はしばらくこちらの様子を見ていたが、近くにいた母親がチューッ、チューッと警告を発し、親子は森の中へと消えていった。

 雨季に訪れると森の中を歩くのは困難だ。木の上を移動するオランウータンにはぬかるみなどは関係ないが、人間はボートで出た方が楽なときもある。そんなときはあまりオランウータンと間近に出会えるチャンスはないと思っていた。しかし、チャンスはあった。湖の岸沿いにひょっこりと手を伸ばしているオランウータンがいた。無心に木の実を食べている。徐々にボートをを岸へ近づける。オランウータンが泳ぐと言う話しは聞いたことがないので、こちらも大胆に近づいて行く。オランウータンも単に食事に夢中なのか、ボートに乗った人間がこれ以上近づけないと知っているのか、こちらには目も向けない。結局、思う存分写真を撮らせて貰い、さよならを告げた。オランウータンはその後も食事に夢中だった。

 雨季にはこんなこともあった。アンクル・タンのジャングル・キャンプは森の中の質素な小屋に泊まる。私はキャンプの中で一番端にある小屋になった。その日の夕方、キャンプの近くでオランウータンを見た。そして私の小屋近くの木にオランウータンが寝床を作っていた。私のお隣さんがオランウータンというだけで嬉しく、良い土産話になると喜んだ。その日は暗くなってから激しい雨になり、皆早めに自分の小屋に戻り、眠る。しかし、トタン屋根にぶつかる雨音がうるさくなかなか寝付けない。お隣さんのことなどを考えていたその時、どこかで木が倒れる大きな音がした。その直後、ウーーーゥと悲しげな鳴き声がした。数回鳴いて、また雨音だけが響いていた。倒木はオランウータンにとっても恐怖なのだろうか。現地のガイドも初めてらしく驚いていた。

<オランウータンの糞>

 オランウータンは大抵、毎晩寝床を変えると聞いていた。私が到着して直ぐに近くにオランウータンがいると聞き、見に行った。母子が食事の真っ最中だった。既に数日、この場所にいるらしい。翌日、オスのオランウータンも加わって食事をしている。昼近くには昼寝を始めた母親の周りをうろつく子供がつかず離れずで遊んでいる。時には下にいるこちらの様子も伺っている。母親は近くに来ると子供を引き寄せたりしている。そのうち、遊び疲れたか、母親と一緒に寝てしまった。夕方、やはり母子とオスはまだ、同じ場所にいた。その日の晩はオスもこの場所で眠るようだ。私の滞在中4日間、母子は同じ場所を動かなかった。オスは他に行ったり戻ったりを繰り返していたようだ。ここの木の実は余程おいしいらしい。

<オランウータンがかじった木の実>

 オランウータンと出会って危ないこともあった。いくら近づいてもこちらを気にしないこともあれば、少しでも嫌がることがある。子供を連れた母親は大抵嫌がる。チューッ、チューッと警告を発したり、枝を揺らしたり、投げたりすることもある。なるべく警告を発し始めたら写真をやめて距離をおくようにしている。そしてまた、近づき様子を見る。オスの場合、これを繰り返していると、たまに追いかけて来ることがある。本気ではない様子で捕まったことはないが、それ以上戻ってみることはしない。力の強さを考えると最低でも大怪我することは間違いない。現地の人からもオランウータンに襲われ大怪我をした話しはよく聞いていた。ただ、何もしないのに突然襲われたと言う部分は疑わしいが...。

<オランウータンがかじったジャックフルーツ>

 果実が豊富な時期は実をかじっては、捨て、直ぐに新しい実を採るようだ。ボタ、ボタと大きな実が落ちてくる。ボーっとしていると当たって痛い目にあってしまう。時には糞まで落ちてくる。食事中のオランウータンはじっくり観察できるチャンスではあるが、落し物には気を取られることも少なくない。

 オランウータンは絶滅危惧種と言われている。動物園やテレビで見るオランウータン、リハビリ施設のオランウータンと野生のオランウータンはそれぞれ違う種に見える。野生のオランウータンと多く出会ってきたことは本当に幸せだった。身近にいる存在ばかりが大切ではない。簡単に接することばかりが良いとは限らない。

[オランウータンのデータ]
[ページの先頭へ]


最終更新日 2001/3/31
『オムニバス・ジャングル』(The omnibus jungle) の写真、イラスト、文章など無断で転載、複製、配布などを禁じます。

Copyright (c) lemur 1996-2001 All Rights Reserved.

[戻る]


[PR]子育てママさんへ:3年毎に15万円うけとれる保険?