
| 樹冠の移動者−猿類
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ココナッツ採りの名人。 鋭い犬歯を剥き出しす激しさを垣間見た。 |
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<<ボルネオ>>
ブタオザルは名前の通り、尾がブタのように短く丸まっている。飼育してココナッツの実を採らせると言う話も聞くが、一度追いかけられたことがあったせいか、鋭い犬歯など、悪いところばかり見てしまう。しかし、ジャングルでは滅多に遭遇しないが、最初の出会いが悪かった。
ボルネオのジャングル・キャンプに訪れるようになって3回目くらいのことだったろうか。いつものように1人でジャングルを歩いていた。天気は良く静かなジャングルだった。オランウータンに出会い、昼食の時間も近いのでキャンプに戻る道、キャンプはもうすぐのところ。茂みの奥で何かが動いた。何だろう、姿が見えない。猪かオオトカゲかもしれない。彼らはキャンプの残飯をよくあさりに来る。カサカサ、カサカサとまだ動いている。葉と葉の間からようやく体の一部が目に入った。どうやら猿のようだ。カニクイザルにしては少し大きい。それにこのあたりでカニクイザルは地面を歩くことは滅多にない。道を前後しながら見えそうな場所を探すが無理だ。少し奥に分け入って見る。枯れた落ち葉を踏む音がして、猿は私に気づいたようだ。すっと茂みの奥に隠れてしまった。しかし、遠くに逃げていった様子ではない。もう少し奥にと足を延ばした瞬間、茂みの中から大きなオスのブタオザルが飛び出してきた。まずい、葉や枝を掻き分けて道に出て私もダッシュで駆け出した。後ろを振り向く余裕はない。ひたすら走るだけ。数百メートルを走ったところでようやく後ろを振り返った。何も追いかけてこない。突然のダッシュと恐怖と安堵が入り混じり、膝がガクガクと震えている。
今までブタオザルを見たのはセピロックにあるオランウータンのリハビリテーション・センターだけだった。オランウータンに与える餌のおこぼれを狙ってやってくる。そこではどの猿も危険な雰囲気はなく、餌に夢中になっている。ただ、そこで私が見たのはブタオザルの大きな犬歯。奴に捕まっていたら、あの恐ろしい犬歯に噛み付かれていたことには間違いない。
突然、向かってきたときは本当に驚いた。ブタオザルと私の間は数百メートルも離れていた上、特別しつこくもしていなし、嫌がることをした覚えがないと当時は思っていた。しかし、後々考えてみると、茂みに隠れて見えない彼のサインに気が付かなかっただけと思う。深追いしてこなかったのも彼の攻撃もひとつのサインだったのだろう。とにかく対決まで行かなくて本当に良かった。
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