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| 樹冠の移動者−原猿類
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赤い目を縁取る白、リスのような尾。 しかし、差し伸べた手には指紋も爪もある。 |
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<<ラノマファナ国立公園>>
今までに出会った中で一番、近くまで接近した原猿がアカハラキツネザルだ。
ラノマファナ国立公園の入り口は、村から7kmくらい離れているため、ランチにパンとバナナを持参して訪れた。ガイドを雇い、しばらく歩いて休憩をしていたときのことだ。どこからともなくアカハラキツネザルがやってきた。カップルのようだ。1頭は首にタグをつけている。ここは欧米の研究者がおり、調査をしている場所でもある。そのためか人に慣れているようだ。枝の上から私達の様子をしきりに伺っている。
赤い目を白く縁取って愛らしい顔つきをしている。お腹が白っぽい方がメス、茶色っぽい方がオスだ。1頭がジャンプするともう1頭も後を追う。目の前の木を2頭はちょこちょこと動き回っている。
ガイドがバナナを持っているかと尋ねる。一緒になった旅行者がガイドに渡すと、小さくちぎり、投げ出した。木の間をジャンプしていたアカハラキツネザルが地面に降り、バナナを口にする。次第に彼らと私たちの距離が縮まってくる。ひとしきり写真を撮って、バナナのかけらを手に乗せ差し出すと、1頭が恐る恐る近寄ってきた。大急ぎでバナナを奪った瞬間、僅かだが手が触れた。人間の手とあまり変わらない感触だ。よく見てみると彼らの手には指紋も爪もある。形は人間と同じ平爪だ。
平爪をひとつでも持っていれば猿の仲間と言われる。しかし、丸い目、突き出た鼻やリスのような尾を見ていると、とても猿とは思えない。君はいったい何者なんだとつい尋問したくなる。
ひとしきりバナナを食べて彼らはさっさと森の奥へと消えていった。私の愚問などに耳を貸す気などないようだ。
<<ペリネ保護区>>
次に彼らと出会ったのはペリネ保護区だった。この日、私はあまり人の行かない奥の方まで行くことにしていた。ペリネはインドリで有名だが、他の種類もたくさんいる。できれば、多くの種類を見たかった。しかし、歩いても歩いても、何も現れない。風景は美しいが静かなジャングルだった。
突然、ガイドが足を止めた。何か見つけたらしい。手招きをして指を指す。目を凝らして、あたりを探すと茶色の動物が見えた。こちらの様子に気がつき、移動を始める。一瞬、視界の良いところに出てくれた。ガイドが”アカハラキツネザルだ”と興奮する。しかし、あっという間にジャングルの奥へと消えてしまった。ガイドが言うには”ここでアカハラキツネザルに出会うことは滅多にない。君はすごくラッキーだよ”と抱きつきそうになりながら話してくれた。
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